経済産業省が太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)の見直しを加速させるようで、2012年に制度を始めたばかりの頃に認定を受けたまま発電を始めていない案件については、買い取り価格を減額する方向で検討するようです。
そもそもFITは11年の東日本大震災や原子力発電所の事故を受け12年から始まったもので、経産省が個人や企業を再生可能エネルギーの「発電事業者」と認定し、作られた電力を長期間、固定価格で買い取ることを電力会社に義務付けるもので、電力会社は買い取り費用を電気料金に上乗せするというおので、原発や火力などに依存した電源構成を見直し、再生エネを普及させる狙いがあったんですよね。
FITを始めた当初の12~14年度、太陽光でつくった電力の買い取り価格は事業用で1キロワット時あたり32~40円であり、現在の18円を大きく上回る金額となっており、さらには海外よりも高く設定し、普及を促していました。
この高値の時に認定を受けておけば、発電開始が何年後でも認定時の条件で高く売電できるというおので、制度の発足当初は発電パネルの価格も高く、増産効果で安くなった海外産の登場を待って発電を始めれば、事業者は利益を増やせるということもあり、こうした制度の穴をついた事業者は多く、認定だけを受けそのまま電気を作っていない事業者も大奥、特に買い取り価格が高値だった12~14年度の3年間に認定された案件で、未稼働分は約2400万キロワットにのぼっています。
経産省が8月に開いた会議では、未稼働分の太陽光がすべて発電を始めた場合、電力会社の買い取り額は1.3兆円も膨らむとの推計が出され、再生エネルギーの買い取り価格を電気料金に転嫁した額は18年度に2.4兆円となり、さらに膨らみ続けると、個人の負担増に加え、企業の産業競争力も損なうと懸念されています。
そもそも太陽光の買い取り額ばかりが膨らむと他の再生エネルギーの普及も阻みかねないですし、需要と供給のバランスが崩れてしまいます。
そんな状況を是正するため、経産省は未稼働の太陽光対策を加速させることにし、過去の未稼働案件について買い取り価格を認定時より減額することを軸とし、中には事業者の権利を取り消す厳しい措置を検討すべきだとの声もあがっているようです。
これまでも17年施行の改正FIT法で、未稼働案件のうち電力会社との契約がないものを失効させるという措置を始めているのですが、それでも電力会社と売電契約を結びながら稼働していない案件は多く、規制を強める必要があると判断しているようです。